日本獣医再生医療学会(理事長)
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消化器内科

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消化器内科は胃腸・肝臓・膵臓・食道・肛門など食べ物を食べてから排泄されるまでの幅広い領域を扱う診療科です。
消化器疾患は保険会社の疾患別統計で常に上位にあり、よくあるトラブルと言えます。それらの中には難治性の疾患や命に関わる重篤な疾患も含まれています。
消化器症状がある/繰り返しているなどでお困りの際はお気軽にご相談ください。

このような症状は早めにご相談ください。

元気食欲がない、お腹が痛そう、下痢・軟便・血便、吐いた、痩せてきた・体重が増えない、肝臓の数値が高い

消化器診療の流れ

  1. 問診と身体検査から問題点を整理し、鑑別疾患(考えられる病気リスト)を挙げ、検査の必要性や緊急性を判断します。
  2. 次に一般検査(糞便検査・血液検査・画像検査など)でどこが怪しいか評価し、複数ある鑑別疾患を絞り込んで暫定診断をします。
  3. 暫定診断に対して試すべき治療があれば、治療を優先します。
  4. 確定診断すべき場合は、精査(内視鏡検査・細胞診検査・CT検査・生検など)を行います。
  5. 最終診断結果に基づいて治療計画を考えていきます。
問診・身体検査→一般検査→暫定診断・試験的治療→精密検査→確定診断→治療方針

消化器疾患は胃腸だけでなく、肝臓、胆嚢、膵臓も含まれ、それぞれが密接に関係することから、病気が1つでなく複数併発していることも少なくありません。
そのため、複数ある鑑別疾患の絞り込みが重要になります。

鑑別疾患>検査>確定診断

主な検査の内容

  • 問診と身体検査
  • 糞便検査
  • 血液検査
  • 画像検査(X線・超音波検査)
  • 細胞診検査
  • 内視鏡検査
  • CT検査

1. 問診と身体検査

消化器科は問診を非常に大切にしています。問診は診察の中でも重要な要素で、検査方針が大きく決まります。なるべく正確な鑑別疾患を挙げられるよう、ご家族からの情報に耳を傾けます。

次に身体検査で異常がないかを調べます。

  • 体重の変化、体格の評価
  • 体温、心拍数、呼吸数
  • 腹部の膨満、痛みの有無
  • 脱水、粘膜の色

集中治療を必要とする病気か、詳しい検査をした方が良いかを判断します。

2. 糞便検査

糞便の色、匂い、形状、回数などから病気を絞り込んだり、寄生虫などの病原体の有無を院内検査と外注検査(抗原検査・PCR検査)を用いて確認します。

3. 血液検査(血球計算・生化学・ホルモン検査など)

嘔吐/下痢などの消化器症状は消化器疾患以外の疾患(泌尿器疾患、内分泌疾患など)でも起こりうります。血液検査では病気を特定することができません。動物の状態や他の疾患がないかの確認を目的として血液検査を行うことが多いです。疑う疾患によっては特殊な外注検査等も行います。
血液検査は万能な検査ではありません。あくまでも病気を推測する情報の一つであり、他の検査と組み合わせて診断に近づいていきます。

4. 画像診断(X線検査・超音波検査)

画像検査で確定診断できる病気は一部です。多くの病気は画像検査での異変から病気を疑い、確定診断のために何の精密検査(内視鏡やCT検査など)が必要かを考えます。

X線検査(レントゲン)

  • 異物、ガスのたまり、臓器の大きさや位置の異常

超音波検査(エコー)

  • 消化管の壁構造、運動性の評価、腫瘤性病変の有無など
  • リンパ節の大きさ、内臓の評価、血管の走行異常、血管内血栓の検出など
  • 異物や腸閉塞、液体貯留の検出など緊急性の評価

※お腹の毛や体動はエコー画像が不鮮明になる、臓器の連続性を評価できないなど検査精度が落ちてしまうため、毛刈りや鎮静剤を用いて検査を行います。

5. 細胞診検査

  • 腹腔内もしくは消化管にみられる腫瘤性病変や胸腹水に対し、細い針を穿刺して細胞を採取します。(鎮静剤を使用)
  • 得られた細胞を顕微鏡で観察し、細胞構成や異形細胞がいないか評価します。
  • 診断力は組織生検(病理検査)と比較して劣りますが、侵襲度も低く、有効な検査法です。

6. 内視鏡検査(上部消化管・下部消化管)

全身麻酔下で消化管粘膜の観察と生検(組織採取)を行い、確定診断を狙います。

  • 嘔吐、食欲不振、下痢などが長期化している場合に実施
  • 消化器症状とともに体重減少がみられる場合は特に注意
  • 慢性腸症、消化管潰瘍、腫瘍などの胃腸疾患の診断に不可欠

内視鏡には検査以外にも治療ツールとしての顔もあります。

  • 自分で飲食ができない場合には栄養チューブの設置(食道瘻・胃瘻)も可能
  • 消化管の狭窄部を拡張させるバルーン術
  • 消化管粘膜に発生したポリープの切除
  • 異物の摘出(開腹手術を回避できる可能性があります)

7. CT検査

CT検査は全身のさまざまな病態の詳細な評価に有用であり、特にX線やエコー検査ではわかりにくい部位や大型犬など体の深部の評価ができない場合などの評価に優れています。

  • 原発腫瘍の大きさ、浸潤範囲
  • リンパ節や肺などへの転移の確認
  • 外科手術前のマージン確認・手術計画

必要だと判断した場合はCTが可能な病院に紹介し連携をとっていきます。

杉本 太一(Taichi Sugimoto)

担当獣医師

杉本 太一(Taichi Sugimoto)

所属・資格

  • 日本消化器内視鏡学会
  • JAHA 総合臨床医 認定医

略歴

2016-2020年 さくら動物病院
2020-2025年 (公財)日本小動物医療センター附属小動物消化器センター(https://jsamc.jp
2025年 都内動物病院 消化器内科部長
    さくら動物病院 消化器内科科長

ひと言

ご家族の想いを尊重しながら、動物が発しているSOSに対し真摯に、そして全力で向き合いたいと思います。検査や治療の選択肢をご家族と相談しながら、それぞれの患者さまに最適な道を探したいと思います。

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